日本の危機 2018 6 16
先日の米朝首脳会談を受けて、
「緊張緩和になった。平和になった」と思った人が多いでしょうが、
そう思った人は、「平和ボケ」しています。
むしろ、日本は、未曽有の危機に追い込まれたと考えるべきでしょう。
これは、アメリカ大統領の職責を考えれば、よくわかることです。
大統領としては、北朝鮮に対して、
アメリカ本土まで届く大陸間弾道ミサイルを廃棄させればよいのです。
これで、大統領としては、十分な成果となります。
北朝鮮との関係は、緊張緩和が達成され、
アメリカとしては、「一件落着」かもしれません。
しかし、これでは、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルが、
大量に残ったままとなります。
この状態で、アメリカは、
北朝鮮への圧力となる米韓軍事演習を中止し、
さらに、在韓米軍の撤退まで検討しています。
楽観的な人は、
「アメリカは、北朝鮮の核兵器を廃棄させるから大丈夫だ」と思うでしょうが、
これも、「平和ボケ」の発想です。
作ってしまった核兵器を解体するのは、非常に難しいのです。
核兵器というものは、作るよりも解体するほうが難しいのです。
北朝鮮は、核兵器については、
最大で50発は保有しているのではないかと推定されます。
もし、これほどの核兵器があるとすれば、
核兵器の解体には、10年から20年はかかるでしょう。
そうなると、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルが大量にある状態で、
核兵器は、10年から20年は存在することになります。
さらに、北朝鮮は、国土の大半が山岳地帯なので、
完成した核兵器を山岳地帯に隠してしまったら、
もはや探すことは不可能です。
アメリカは、「もう仕事は終わった」と言っているでしょう。
アメリカ本土まで届く大陸間弾道ミサイルを廃棄させることで、
核兵器が存在しても、運搬手段がなくなるからです。
一方、日本の仕事は、これから始まるのです。
北朝鮮に対して中距離弾道ミサイルを廃棄させることです。
これに対して、そこまでしなくても、
「日本は、ミサイル防衛システムがあるから大丈夫だ」と考える人がいるでしょうが、
そう考える人も、「平和ボケ」しています。
ミサイル防衛システムというものは、
技術力の誇示には有効でも、実用性はありません。
弾道ミサイルは、1発ずつ発射するものではありません。
同時に大量に発射するものです。
しかも、日本は先制攻撃をしない国だとわかっていますので、
大量の弾道ミサイルを1か所に集めて同時に発射すれば、
ミサイル防衛システムもイージスシステムも、全く機能しません。